ファイルサーバーにクラウド バックアップ機能を追加する Azure File Sync (AFS)とは?

Azureファイルストレージが機能拡張され、Windowsファイルサーバーの[同期バックアップ] [クラウドティアリング(階層化)]が可能になりました!!
※ Azure AD DS 認証との連携はできません。

【コンポーネント】

①登録済みサーバー:File Syncエージェントをインスールしたサーバー
②同期グループ:複数の登録済みサーバーを1つのクラウドエンドポイントと紐付ける
③クラウドエンドポイント:Azure Filesの共有フォルダ
④サーバーエンドポイント:ファイルサーバー内のファイルパス(ドライブ/フォルダ)
※1つクラウドエンドポイントと登録済みサーバー内の1つのサーバーエンドポイントを同期させる事が可能

【同期バックアップ】
1つクラウドエンドポイントと(複数の)登録済みサーバー内の1つのサーバーエンドポイントを同期させる事が可能。例えば、ファイルサーバー内に D,Eドライブがある場合、2つのクラウドエンドポイントが必要となる。
※クラウドエンドポイント側でファイル変更した場合、24時間に1回、更新されます。

【クラウドティアリング(階層化)】
ファイルサーバー上のデータ(64KB以上)をポインターに置き換え、実データをクラウドに配置する。ポインターに置き換える事で、ファイルサーバーの”容量消費の回避”と”容量拡張”を行う事ができる。あと、同期バックアップも行います。

【ファイルサーバー動作条件】
・サポートOS:Windows2012R2 以降
・メモリ2GB以上
・NTFSのみ対応
・ローカルボリュームのみ ※NAS未対応
・スケールアウトファイルサーバー/クラスター共有ボリューム 未対応
・DFS-N/DFS-R サポート
・データ重複除去
・IE セキュリティ強化の構成をOFF

【データ転送制御】
ファイルサーバーからAzure Filesにデータを転送するタイミングを、[曜日、時間、帯域上限]によりコントロールできます。 ※ファイルサーバーにて実施

Import-Module “C:\Program Files\Azure\StorageSyncAgent\StorageSync.Management.ServerCmdlets.dll”

New-StorageSyncNetworkLimit -Day Monday, Wednesday, Friday -StartHour 0 -EndHour 23 -EndMinute 59 -LimitKbps 10000
※日付を超える時間設定ができません。 例:-StartHour 22 -EndHour 8

Get-StorageSyncNetworkLimit | ForEach-Object { Remove-StorageSyncNetworkLimit -Id $_.Id } ※設定削除

Get-StorageSyncNetworkLimit ※設定確認


全体の流れ

Step1:Azureファイルストレージの作成 ※省略
Step2:Azure File Syncの作成
Step3:ファイルサーバーへのエージェントインストール
Step4:同期グループの作成
Step5:クラウドエンドポイントの追加
Step6:サーバーエンドポイントの追加


Step1:Azureファイルストレージの作成

※事前に「Azure Files の作成」を実施しておいて下さい。

Step2:Azure File Syncの作成

[新規]ー[Storage]ー[Azure ファイル同期]を選択

Name:表示名
サブスクリプション:Azureサービスの提供範囲
リソースグループ:グループ名(複数のリソースを1つにグループ化する機能)
場所:デプロイするAzureのリージョン

Step3:ファイルサーバーへのエージェントインストール

[作業の開始]ー[Azure File Sync エージェントをダウンロードします]を選択

ダウンロードしたエージェントを、ファイルサーバーにて実行
※次へ次へで、インストールが完了します。

ファイルサーバーからAzureへサインインする必要があります。
※Azureポータルへの接続にセキュリティ強化(IP制限、証明書)している場合は注意が必要

これにて、Azureとファイルサーバーの接続が完了しました。

Azure側で、登録されたファイルサーバーが確認できます。

Step4:同期グループの作成

[同期グループ]ー[同期グループ]を選択

Step5:クラウドエンドポイントの追加

同期グループ名:表示名
サブスクリプション:Azureサービスの提供範囲
ストレージアカウント:事前に作成した、Azureファイルストレージを選択

作成した、同期グループを選択

Step6:サーバーエンドポイントの追加

登録済みサーバー:ファイルサーバーを選択
パス:バックアップ対象ディレクトリのファイルパスを指定
クラウドの階層化:Azureファイルストレージをティアリングストレージとして利用する。
ボリュームの空き領域:0~100%。ファイルサーバー側の空き領域を指定。指定値に達するとティアリングが開始される。
※空き領域を100%に設定しても、一旦ファイルサーバーに保存する必要があるので、その分の容量は必要となる。

これにて、設定完了です!!


それでは、確認してみましょ~

ファイルサーバーにデータを保存すると、Azureファイルストレージ側に同期されている事が確認できます。
※ティアリングを有効にした場合でも、フルバックアップが取られます。
※NTFSアクセス権も引き継がれます。

Azureファイルストレージ側で加えた変更(新規作成、削除)は、ファイルサーバー側には反映されません。例えば、同期状態にあるファイルをAzure Files側で変更・削除した場合、同期対象から外れます。この状態で、変更・削除されたファイルをファイルサーバー側で更新をしても、同期される事はありません。ファイルサーバー側でコピペや移動を行うことで再度同期対象となります。

クラウドティアリング(階層化)を有効にした場合、ユーザーデータがどちらに存在するか確認するには、ファイルのプロパティにて確認できます。

A:アーカイブされている
P:スパースファイル(空データ)である
L:再解析ポイントを保持している
O:データがディスク上に無い

※右側のファイルは、クラウド上に保存されている。

Eドライブに”2GB”分のファイルが保存されているのに、使用領域が”332MB”となっている。